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生え際の戦い

先日、後輩と生え際の話になりまして。

「最近生え際が後退してきた気がして」そう後輩は口火を切りました。

ふ~ん後退ねえ…生え際が…後退…生え際ってつまり、毛根の最前線ってことじゃないですか。激戦地ですよ激戦地。ものすんごい数の弾幕が飛び交い、累累と死体が積み重なる地獄なんですよ。

そうなると敵方は間違いなく額の皮膚になるわけです。生え際の後退が意味することは、額の皮膚が今現在攻勢にあることの証拠で、この劣勢が続けば我々の毛根軍は死滅し、敗北(ハゲ)は必至です。毛根軍で感情移入できない方は、毛利軍と読み替えていただいても結構です。

毛利軍といえば1555年に、たった5000ほどの兵力で、陶(すえ)軍30000を打ち破ったといわれる厳島の戦いが有名ですが、まさしくこれは毛根と皮膚の関係と似ています。ちなみに日本人の平均頭皮面積は59平方センチメートルと言われております。毛利軍と陶軍の例でみると、毛根軍59平方センチメートルに対し6倍の354平方センチメートルの皮膚(額)軍となり、つまりは17cm×18cmの額となります。そんな大きな額の人間ならすでにハゲだと思われるかもしれませんが、生え際の後退が起こったその瞬間の状況が、354平方センチメートルの額ですから、まだハゲではありません。世の男性諸氏は、17cm×18cm未満の額であれば勇気をもってハゲではないと豪語することができます。

問題は毛根VS額と毛利VS陶が全く関係のない事象であるということと、仮に今後世界的に双方の関連性が認められ学術的に証明されたとしても、史実自体に不正確な点が見受けられることです。実際の陶軍は30000ではなく20000とも、また10000未満だったとも言われております。20000であれば額軍は15cm×16cm、10000であれば11cm×11cmほどになり、それでも立派なハゲではないかという意見も聞こえてきますが、残念ながらやはりハゲではありません。ちなみに私は12cm×5cmで60平方センチメートルだったので、完全にハゲではございません。

ここまで書いてきてなんですが、生え際が後退するということは、前提になっている頭皮面積59平方センチメートルというのも減少していくということに気づきました。そうなると頭皮に対する額の割合も当然ながら変わってくるわけで、始めっからハゲの方程式を計算しなおさなければなりません。苦渋の選択ではありますが、これ以上は、ハゲそうになるのでやめておきます。