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リアル脱出ゲームにハマらなかったワケ

初めて「リアル脱出ゲーム」なるものに行ってきた。

プレイヤーが所定の場所に閉じ込められた、という設定で数々の課題(脳トレやIQテスト的な問題)をクリアしながら、脱出もしくは目標の達成を目指す体験型のイベントだ。

小道具の数々は精巧で、造り込みが深く、アナログに紙やペンを使うだけでなく、タブレット等の電子機器を駆使する「今」風のギミックが多々用意されており、すごいな、と唸らされる部分もあったにはあったのだが…

結論から言うと、あまり面白くはなかった。

 

出題される問題の難易度が高すぎたのもあるかもしれない。タイムリミットがあるせいで、冷静に考えれば解ける問題でもパニックに陥って頭が真っ白になったこともあった。

6人1チームで行うので、周りのプレイヤーに助けてもらいながらなんとか形にはなったのかな、と思うのだが、それでも他のメンバーは一瞬のひらめきから名解答を生み出したり、積極的に会話することで「リアル脱出ゲーム」を堪能している感じが出ていた。

一方僕はと言えば、ボソボソとつぶやくだけで、まったく参加できず、あれってこうだよな、みたいな脳内の思考を全然口にできずに、答えが出ると「ああやっぱそうだよね~」みたいなダサいやつに成り下がっていた。

チームメイトは「何回も行けば慣れるよ」「経験がものを言うんだ」「あそこで詰まらなくても最後(課題クリア)は時間的に無理だったね」などと慰めの言葉をかけてくれたが、はたして“何回も行こう”と思うか。思わない。

その理由をまとめておこうと思う。

 

1.世界観に入り込めない

ワンピースやJOJO、ドラゴンクエスト、名探偵コナンと様々なコンテンツとコラボレーションしている「リアル脱出ゲーム」だが、どうもその世界観に入り込めない。どれも大好きなコンテンツなはずなのに、それらは元々漫画やアニメやゲームといった2次元のコンテンツであって、それを実世界で体験したい、と思えない。

「リアル脱出ゲーム」の全工程にそれらしいエッセンスは入っているが、本質(中身)はただの脳トレやIQテスト的な問題だけで、「はて、何のために私たちは爆弾を解除しようとしているのか」とどうしても思ってしまう。

 

正直、これならテレビでクイズ番組を見て好き勝手言ってるほうが断然楽しい。

たしかに、タイムリミットの要素が加わることでハラハラドキドキのサスペンスフルなイベントを疑似体験できるし、チームで謎を解くという一体感、そして謎が解けた時の達成感という意味では、一人では味わえない貴重な体験だとは思うのだが…

 

2.独りが好き

じゃあ何故行ったのか、と言われれば一度は行ってみたかったとしか言いようがない。が、生来なにごとも独りでするのが好きだ。別に大人数で行動するのが嫌いなわけじゃない。ただ、食事も買い物も映画もカラオケも独りが一番楽しめるのだ。嫁や子どもならまだしも、見ず知らずの人間と何かを達成したり、一体感を演出したり、喜びを共有したいと、そもそもあまり思わない。

 

3.金が高い

一回につき約3,000円はする。イベントの運営や、人件費等を考えると全然妥当な金額だとは思うのだが、3,000円払った対価として楽しめる要素は自分にはなかった。それはやっぱり1や2の理由へと繋がっていく。

 

また、ここ数年、読書(とくに推理小説)にはまっている。古本であれば100円払えば1週間楽しめ、感想をブログに書いたりすれば何年も見返してによによできる。

そんな推理小説と違い、3,000円払って精神的にも頭脳的にも追い詰められ疲弊させられるのは割に合わない。余韻も全くない。世界観に入り込めない。独りでゆっくり解きたい。

 

ということで、今後いくら手を変え品を変え(コラボ対象を変え)、新しい「リアル脱出ゲーム」が登場したとしても、行くことはなさそうだ。