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ピチョ・ルーカス【France,Vacqueyras】PICHOT ROUCAS 2017

    試飲時に、さっぱりとした爽やかな飲みやすい赤ワインだと感じたので即決。価格も1,000円台でコスパが良いのもグッド。

 


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    南フランスのローヌ地方にあるVacqueyrasヴァッケラス)の一本。使われているブドウの品種は、シラーグルナッシュカリニャンの三種。それぞれがほぼ同量ブレンドされ、三種三様の特徴を楽しめるという意味でもパフォーマンスは良い。

  が、三種の違いを判る舌を持っていないのがつくづく残念。(ちなみに公式サイトでは、それぞれが30%の比率でブレンドされている、としか書かれていなかったが、残りの10%はなんなのか、恐い

 

    シラーの特徴は、強めの酸と黒胡椒を思わせるスパイシーな香り。グルナッシュもシラーと似たような特徴を持つが、熟成期間によってその香りの幅は広がり、なおかつシラーとの相性も良いので、揃ってブレンドされることが多いらしい。カリニャンはスペインを原産とするブドウ品種で、シラーやグルナッシュを超えるほど強い酸、そして重たい渋みが特徴。同系統のブドウ品種だからなのか、シラー、グルナッシュとブレンドされることが多く、ブレンドでこそ真価が発揮される品種のようだ。

    つまり、シラー・グルナッシュ・カリニャンは、野口五郎・西城秀樹・郷ひろみばりの濃ゆいメンツであり、ワイン界の御三家に他ならない。そして、それらが均一にブレンドされることで、独特の渋みと酸味のハーモニーを生み出すのだ。しかし、御三家の面々も老齢化が進んでいる。さらに残念なことに、西城秀樹氏は昨年、お亡くなりになられた。心から哀悼の意を表したい。私の心の中では、あなたはいつまでもヤングマンです。

 

 

    閑話休題。

    本製品は、三種の良さが際立つ、というよりかは、三種の相乗効果でワインの品質を押し上げていると言ったほうが良いかもしれない。

    第一印象である強い酸味も、えぐ味や雑味がほとんどなく、冒頭でも言ったように、ある意味フレッシュな爽やかさすら感じる。その後やってくるのは程よい果実味で、口当たりの良いタンニンも飲みやすさに寄与している。

    今回は2日目、3日目と分けて飲んだが、アルコール感は落ち着いたものの、香りやフレッシュさは大きな減衰が見られず長く楽しめた

    一方で飲み終えた後の余韻が無いので、単体ではどうも物足りない。

    赤ワインの強い渋みが苦手と言う方にも、比較的オススメしやすい一本だが、個人的にはもう少し尖った要素が欲しいトコロ。また、これは自分の舌が未熟な所為だが、ブレンドされても全くわからん。次はどうせなら100%単一品種のワインを飲んでみたい。あと、もうお分かりだとは思うが、写真は無い。なぜだろう。飲み始めると途端にグラスの写真を撮るのを忘れてしまう。

 

 

    生産者はエリック・ブルタン。たった一人で畑を耕し、栽培、醸造、瓶詰までをこなすワイン愛の持ち主。AOP(ワインの格付け)に拘らず、自然との調和、そして「自分の好きなワイン」を作ることに情熱を捧げているようだ。だからこそのVdTということだろうか。

    ただ、VdTと侮るなかれ。ヴィンテージによっては、1本5,000~6,000円するものもあり、拘りぬいたブレンドと樹齢80年を超える円熟されたグルナッシュから造られるワインはぜひ飲んでみたい。今後も覚えておきたい生産者の一人だ。

    余談だが、本製品のラベルに描かれている自転車は、エリックが幼少期にブドウ畑で働いていた父の元へ行くために使っていた自転車らしい。

 

総合指数:2.5

価格帯:2,000円未満

マリアージュ:椎茸とパプリカのミートローフ、ローストビーフ、豚のやわらか煮